残念少年と男前少女。



「いいっすよ。
大して痛くなかったので。」



Vサインを見せて、へへっと笑うと、安心したように肩を下ろす。




「よし、じゃあお詫びにお前に仕事を与えてやろう!」




爽やかに笑う部長を見て、はあ?と眉をあげる。

か、関係なくないか?




「まぁ、そんな顔すんなって!」

「元々こんな顔です。」

「そういう意味じゃねぇえええええ!!!!!」




ぱしっと頭を叩かれる。
痛くはないけど、部長に殴られるとかもはや唯の屈辱。




「…と、ともかくだ!!!!」




迷走を続ける会話に終止符を打つように、部長は大きな声でそう言った。



「部長命令だからいってこい!
喜べ!
今回はお前の大好きな先輩のもとだけへ行かせてやるからな!」




はて?

大好きな先輩?

伝言が不要な部長は好悪を考える前に除外して、二人ほど思い浮かんだが、どちらだろうか。

まあ、先輩三人だけど。
思い浮かんだ二人って部長以外だけど。




「まぁ、あれだな。

俺は伝言要らないわけだし、お前が一番好きな俺を抜けて一番って意味だけ「あ、そういうのほんといいです。」


「せめて最後まできけぇえええええええ!!!!」






先輩の怒号が、静かだった廊下にただただ木霊した。