7月。


じめじめとした梅雨が終わり、例えようのない暑さが深刻化するこの季節。


屋内にいようとも、空気に染み込んでいる熱気は、とめどない汗を誘う。



この教室にも、例外なく。




「好きです。」




そう言うのは、確か、隣のクラスでかわいいと噂の女の子。

恥ずかしそうにそう告げた後、上目遣いでこちらを見つめる。



かわいい。
すごく可愛いけどさ。




「――えーと、さ。
一応、確認いい?」




にこり、と、軽く笑みを浮かべて、自分より何センチか低い彼女をみやる。


彼女の頭が軽く上下に動いたのを見て、続ける。




「分かってるかもしれないけど、私、女なんだよね。」