大槻は憧れのカルマンギアを買ってオサムたちの
バンについてきた。バイロイトに向かう。
ワーグナーの音楽祭で有名なこの町の唯一の地下道

はほんとによく売れた。町の人もとても好意的で、
ポリスもフリー。とうとう新聞社がやってきて
写真取り。日本の芸術家の卵来る。すばらしき

ワイヤーワークという見出しだった。新聞に載る
のはこれで二回目だ。

ウルムという町で夜遅く着いて教会の前、ここの
教会はやたら天高くそびえていて、ちょうどいい、

寝袋に包まって車中泊。夜明けとともにひとのざわ
めき、なんと朝市のど真ん中に車を止めていたのだ。

ローテンベルクからフッセンのお城までを
”ロマンチック街道”という。なだらかな丘陵が続く
南ドイツの田園地帯だ。観光バスが結構走っている。

給油していた時大型バスが止まって、降りてきたのは
全部日本人の団体だった。

ローテンベルクはこじんまりとした、まわりを城壁で
囲まれた中世そのままの城塞都市だ。もちろん下は
石畳。町の中央時計台はからくり人形。回りには手作り

工房がたくさんあってバウムクーヘンとかを売っている。
城壁に登ってみると人がすれ違えるくらいの通路に、外向
きは凹型の戦闘用壁角部分は小高く見張り櫓になっている。

ぐるっと一周しても知れている。今でも中世騎士団ごっこ
がやれそうだ。ところが地下室に下りて驚いた。拷問部屋
がいくつもある。よくもこう考えられるなと思えるほど、

色んな責め器具が並んでいる。獄死した死人の絶叫が聞こ
えてきそうだ。そこらじゅうに血のりの後が今でもこびり
ついていそうで息が詰まる。オエーッ。