ポロン…ポロン…
歌声と共に奏でられる美しいハープの音色。
気が付くとアリスは、音に引き寄せられ歩いていました。
近づくにつれはっきりと耳へと響くハープと歌声。
「知らない知らない真(まこと)の姿
さぁ、あなたの手をさしのべて
救い出して真の姿
深い深い森の奥
きっとあなたは見つけ出す
答えのカギを見つけ出す
探し出して答えのカギを」
大きな草でできたトンネルをくぐると、自分よりも大きなハープを奏でる銀色の長い髪をした美しい女性がいました。
例えるなら月のように優しく輝く女性。
「あ、あのー…」
そう、アリスが恐る恐る話しかけると、
「ひゃぁっ…!!っと、もう!いきなり話しかけないで下さる!?もう少しで大事なハープを倒すとこでしたのよ!」
と、ただ話しかけただけなのに怒られてしまいました。
「ご、ごめんなさい!私あなたの美しい歌声とハープに惹かれてここまで来たんです。」
「そうでしたの?まぁ、ハープも無事でしたことですし許してさしあげますわ。ところで…あなたは誰?」
「ありがとうございます。私アリスと言います。アリス・ハーティフル。」
軽くアリスはお辞儀をしました。
「アリスとおっしゃるのね。私はキャロ・ディ・ルーナ。この世界の案内人ですの。」
「案内人?」
「そうよ。けれどめったに誰も来ないからいつも歌をうたっていますの。」
「じゃぁさっき歌っていたのも?」
「ええ。」
「あの、もう一度歌ってもらえませんか?」
「まぁ、よくってよ。どうせあなた以外誰も来ないのですから…」
静かにそう言うと、ルーナはポロン、ポロンとハープを再び奏で始めました。
