取り上げたじょうろで、声の持ち主である彼白野空雅は、続きをやり出した。
「この後も仕事あるんだろ?」
白野空雅は、彼が知るはずのない私の仕事を指摘された。
「これは俺がやっておく。」
いつものように、女子を垂らしこむ、優しい顔をして言った。
私も、他の女子同様、彼のこの顔に弱い。
(どうしよう…)
しばらく悩んだ後、
(時間を無駄にしたくないだけ。)
と、心の中で言い訳を言いつつ、
「…そうする。」
彼の親切に甘える事にして、私は次の仕事に取りかかるため、足早に下駄箱に向かった。
早くしないと、貴重な休み時間が終わってしまう。
