「相変わらず、お前は紳士じゃないな。」

いつの間にか、教室に入ってきたのか、空雅が見据えていた。


馬鹿にされた連勝が、立ち上がって言い返した。

「俺は、お前みたいに、気取ってないんだよ!」


そして、瑠璃が呆れ気味な小声で、

「あーあ、始まった。」

と、私に聞こえる声で呟いた。


瑠璃の声を合図にでもしたかの様に、彼等の言い争いが始まった。

お互いを睨み合っている2人から、獣のようなオーラが放たれている。


「大体、お前は毎朝毎朝うるさいんだよ!!」

「お前の声の方がうるさいと思うが?」

教室は、一瞬でちょっとした戦場になった。


「そこじゃねぇ!!そのしゃべり方と、キザな言葉遣いを止めろつってんだ!!」


「女性への配慮が至らないよりは、マシだと思わないのか?」

毎朝、こうして同じ様な朝が始まる。

廊下から、先生の足音が聞こえる。瑠璃にも聞こえたのだろう、瑠璃が、私の肩を叩いて頷いた。

2人の会話で、ようやく目の冴えた私は、瑠璃に頷き返した。

私は、言い争う2人の間に割って入った。

「ストップ。」

両腕を広げ、私は、

(あぁ、ベタな止め方しちゃったな…。)

と後悔しつつ、

「それ以上続けるなら、HR中、廊下に立たせる。」

と、偉そうに言い放った。

私の何に怯んだのかは、わからないが、
2人が怯み、言い争いが止んだ。


と、その時、

「HRはじめるぞ〜」

入ってきた、先生が言った。