月日が流れるのは早いもので、琴弥は、元気な男の子を産んだ。


名前は恋。


自分たちみたいにすてきな恋愛が出来ますようにって名付けたらしい。


そして我が娘の凛はもうすぐ二歳の誕生日を迎える。


「凛~走り回らないの。」


「やだぁ~。」


反抗期か?


「転ぶよ~。」


「転ばな~い」


私を挑発するように、凛はパタパタと走り回る。


「凛~!!」


「いたっ。」


凛は廉斗の足にぶつかってしりもちを付いた。


「パパ~おはよ~。」


「お、あ゛、よ」


廉斗は凛を抱き上げた。


いつかこの子にも話さなければいけない日が来るだろう。


けれど、今はもう少し気づかないでいて。

パパの耳が聞こえないことに。


“おはよ花梨。”


“おはよ廉斗。”


「パパとママ何してるの?」


「秘密のお話。」


「凜も秘密のお話したい~。」


「もう少し大きくなったらね。」


そう言って私は凜の頭をなでた。