体で伝える愛言葉

廉斗からの着信に気づいたのは、最初の着信から一時間後。


五分おきに着信があった。


こわっ。


ストーカーかよ。


私は急いでかけ直す。


「気付くのおせぇよ。何やってたんだよ。」


開口一番で説教かよ。


「何って琴弥説得してたに決まってんじゃん。」


「俺、今から慎二つれて琴弥の家に行こうと思うんだけど。」

慎二…ちゃんとわかってくれたのかな。


「よく説得できたね。」


「めんどくさいから、ぶん殴って引きずってきた。」


『あっ?盛ってんじゃねぇよ』

横から、慎二の声が聞こえてくる。


よかった。いつもの慎二だ。


「じゃぁ私も琴弥引きずっていくわ。」


『ふざけんなよ。』


後ろから、琴弥もツッコンでくる。


またあの日々に戻れるんだ。


「着いたら連絡するよ。」


そう言って電話は切れた。


ぶっ飛ばしてくるんだろうな。

どっちが運転するんだろ。


「琴弥。今から慎二が来る。」

「えっ?ダメだよ。こんな私…見せられない。」


「慎二は、どんな琴弥も受け入れてくれる。二人はそんな柔な関係じゃないでしょ?それに…もうクスリやらないでしょ?」

琴弥は、そばにあったクスリを見つめた。


「うん…もうやらない。」


そう言って、中身を窓からばらまいた。


風が運んでいく。


「慎二を待とう。」


いつもの琴弥の笑顔がそこにあった。