体で伝える愛言葉

慎二は、驚いて俺を見る。


「無かったことにしたくなくて頑張ってるやつがいるときに、当事者のお前は、何やってんだよ。忘れるだのほっとけだの言いながら、いつまでもウジウジしやがって!うぜぇんだよ!!だいたい、お前が100%悪くなかったって言えるか?ろくに説明もしてやらねぇで、女と肩並べて歩いて、後から妹でしたって言われても、信用できるわけないだろ!!言い訳にしか聞こえねぇんだよ!ちゃんと話してやってれば、琴弥だって別れるなんて言わなかったはずだ。」

「うっせぇ!!知ったような口聞くなよ!!もし琴弥が俺のこと本気で好きなら信じてくれたはずだ!!」


慎二も俺を殴る。


「甘ったれんな!!どんなにお互いが信じあってても、信頼なんてほんの些細なことで、ブッ壊れちまうんだよ!!それに、信用してたからなんじゃないのか?信用してたから、キレたんじゃないのか?」


俺はまた慎二を殴った。


慎二も殴り返してくる。


先輩や後輩、社長まで集まってきてる。


「そこまでだ!!」


俺たちの喧嘩を止めたのは社長だった。


「事情はわからねぇが、慎二、お前は、仕事に私情を挟むやつじゃなかった。けどなぁ、そうはいっても、人間だから、深く悩めば仕事にも影響は出る。男だったら、考える前にケジメつけろ。」


社長は、慎二の手にタバコを2つ握らせた。


「今日は、俺の奢りだ。これ持って、ことみちゃんに謝りにいってこい。」


社長…事情は知らないとかいって、ちゃんときいてんじゃん。

「ありがとう…ございます。」

「社長俺にもください。」


「お前は給料引きだぞ?」


「えぇ~そこは、奢ってくれる空気じゃないんすか?」


「仕事中に喧嘩するようなやつに奢るタバコはねぇ。」


ズルい。


差別だ。