狼彼氏に甘いキスを


 茫然としている間に顎を掴まれ、上を向かされる。


「っ!?」


 いきなりなことに驚く。
 豊岡くんは怪しい笑みのまま、あたしに顔を再び近付け――――



 唇に柔らかいものが重なった。



 それは一瞬で離れる。


「ごちそうさま。」


 豊岡くんの声にハッとする。


 今のは…、キス…?


「初めてだった?」

 唇をむにっと触られる。
 顔が赤くなるのを感じた。


「かわい。」


 明らかに面白がっている声音で言われ、ムッとする。

「離してよ。」

「はい。」

 簡単に離して貰え、黙り込む。