好き。


 なんて、短くて

 なんて、単純で


 なんて、難しい言葉なんだろう。



「夏織チャン、キスしていい?」


 壁に追い詰められてるあたし。

 壁に追い詰めている豊岡くん。


「…いつも了解とってないよね…?」

 なのにしてるよね。


「いや、一応」

「…駄目って言ったら?」


 狼が獰猛に笑う。



「勝手にする。」

 リアクションする前に唇を塞がれた。


「ンん!」


 唇を割って入ってきた舌はいつもより冷たい気がした。

「ふぅ…ッ」

 何故かすぐに離れた唇。