狼彼氏に甘いキスを


「夏織チャン…?」


 下を向くあたしに豊岡くんが心配したのか声をかけてきた。

 あたしはまだ赤いであろう顔を上げる。



「ばーかぁ」



 今はこう言うしかない。


 だってこの狼は宣言通りにあたしを食べていくんだから。


「…あー、やだな」

 豊岡くんは急にそう言い、あたしを抱き締めた。

「ッ!?」



 強い腕。
 筋肉質な胸。

 聞こえる鼓動。



 ドキドキする。
 豊岡くんに聞こえても仕方がないくらいに。


「…夏織チャン、細いね。」


 そう言われ、頬に血が昇る。

 キスは何回かした。
 だけど抱き締められたことはあまりない。