「…と、よおかく…ッ」
名前を呼んでも唇で塞がれる。
いつも以上に激しくて荒いキス。
「…夏織チャン、舌引っ込めないで。」
悪魔が誘惑するような、違う。
狼が獲物を狩ろうとしているような、甘い誘惑。
「…そう、いい子」
言われた通りにしたら、頭の後ろに回った豊岡くんの手に力が入った。
――――駄目だ、狼に食べられる…
わかってても、頭より先に身体が豊岡くんを感じてる。
もっとあたしを見て、と。
「ッン…っ」
ようやく唇が離れる。
朦朧とする頭。
今、あたし何を考えてた…?
あんなことを考えてた自分が信じれない。

