狼彼氏に甘いキスを



「七瀬、あたし図書館で本返してから帰るから先に帰ってて。」

 放課後、七瀬にそう言ってから隣の棟にある図書館に歩く。


 その時、横から手を掴まれた。


「ッ!?」

 そのまま横に引っ張られ、空き教室に引きずりこまれた。

「誰よ!?」

 叫ぶとクスクスと笑う声。



「俺だよ、夏織チャン。」



 この声…。

「…豊岡くん…」

 綺麗な顔に意地悪な笑みを浮かべた狼が立っていた。


「久しぶり。」

「朝会ったよね。」


 というか、朝初めて会ったよね。

「ナイスツッコミ」

 グッジョブと親指を立てる豊岡くんに本気で切れそうになった。