「…詩穂さん」 屋上に上がると詩穂さんは手すりにもたれかかって街並みを見ていた。 「…来ると思った…」 あたしを振り返りながら詩穂さんはクスクス笑った。 「…もうわかってるんでしょう?」 詩穂さんは呆れ気味に言った。 あたしは浅く頷く。 「あたしは…暖人のことが好きなの」 「うん」 詩穂さんは優しく笑む。 やっぱり可愛い。 「詩穂さんが現れた時に動揺しちゃったのは詩穂さんが可愛いから。」 可愛い子が許嫁だと知って、そっちに行くかも、と揺らいだ。