狼彼氏に甘いキスを





「つまり、夏織が頑張ればいい。多分」


詩穂さんが無理矢理やらされていることを予想した暖人が言った。


「…あたし?」

「そう。話してこいよ。言いたいことあるんだろ、どうせ」



たしかにある。

色々と言いたい。


「…言ってくる。暖人は来ないでよ」


恥ずかしいから。



暖人は素直に頷いた。


「わかった。多分、屋上にいるから」

「わかった」



暖人に背を向け、屋上に向かう。



その背中を見ながら、




「二人共、優しすぎるな…」




淡く微笑んで暖人が呟いたのも知らずに。