昔、という程昔じゃないけど、結構前のこと。 10年くらい前のこと。 暖人と詩穂が6歳の時だった。 二人は初めて会った。 互いの父親は世界でも有名な会社の社長。 その息子と娘が同い年ということで紹介された。 暖人は、詩穂のことを静かな子だと思った。 詩穂は、暖人のことを冷たそうな子だと思った。 暖人は実際に詩穂に冷たかった。 今思うと詩穂に興味がなかったということだ。 そして詩穂は、暖人とは会いたくなかった。 だから静かにしていただけだった。