狼彼氏に甘いキスを



あたしをチラッと見ながら。




――――あたしは、邪魔者なんだ…




我慢できない。

この場にはいられない。



あたしは立ち上がり、無理矢理笑顔を作る。


「邪魔みたいだから行くね」


そう言い、暖人の返事も聞かずに屋上を飛び出した。




暖人に、許嫁がいる。




それは、あたしではなくて、あたしよりも可愛い女の子。


暖人の隣にいていい権利があるのは、




あたしではなくて、詩穂さん。




暖人はどう思ってるの?

あたしはやっぱり、別れても構わない存在なの?


不安は、とどめなくあたしの中を渦巻いて止まらない。