狼彼氏に甘いキスを



「……」


むすっと黙り込む暖人。

すごい嫌そうな顔してるし…。



「暖人ぉ、あたしは嫌い?」



ぐっと顔を近づけ、詩穂さんは言った。


――ズキッ


小さく胸が痛む。

自分では制御できないモヤモヤが渦巻く。


「…嫌いもなにも、好きじゃない」

「ひどぉい。将来を誓った仲でしょぉ」



聞きたくない。


あたしの知らない暖人を詩穂さんの口から聞きたくない。



「いつのまにか彼女いるしさぁ」



気だるげにいい放つ詩穂さん。