その優しい笑みが珍しくて、心臓が跳び跳ねる。 「…やっぱり夏織はいいね」 どういう意味だろう。 首を傾げたけど、暖人は答えなかった。 代わりに、 「お願いが、あるんだ」 震える声であたしに囁いた。 なんで、お願い事だけでそんなに不安そうなの? なんで、お願い事だけでそうなに声が震えているの? なんで、お願い事だけでそうなに、――悔しそうなの? だからあたしは、暖人が求めるように頷いた。 あたしに、言ってみて。