「羽藤サンってさぁ、めっちゃ可愛いよね。」
「俺らと遊ぼうぜ。」

 数人の男子が口々にそんなことを言いながらあたしを囲んだ。

「……」


 香水の匂いが臭い。
 付けすぎだと思う。


 場違いなことを考える。
 だって相手にするの面倒だから。

「なぁ、授業サボらない?」

 鬱陶しいなぁ。


 短気なあたしは顔には出さないけど、キレる寸前だった。

「な、いいだろ?」

 肩に手が置かれる。
 その瞬間、あたしの中で何かが音をたてて切れた。



「邪魔なのよ、馬鹿共。」



 思わず口から出た本音。

 友達からよく注意される口の悪さ。