キーンコーンカーンコーン...

「ギリギリセーフ!」
思わず小声ながらも声が漏れた。

思いっきり走って疲れた体を休めようと椅子に座る。
授業が始まるまで机に突っ伏しておこうか、と考えていると、斜め後ろから声を掛けられた。

「おはよう心海!珍しく今日はギリギリじゃん、寝坊?」
と、笑いながら聞かれる。

「おはよう、陽葵
んー、ちょっとね、また後で話聞いてくれる?」

この子は神崎 陽葵(カンザキ ヒマリ)
私の唯一と言っていいほどの親友で、ショートの髪に、二重まぶたの目はパッチリと大きい。
性格も名前の通りで、向日葵のように明るく元気で、誰にでも太陽のように温かく、優しい
運動神経もよくて、バスケ部では先輩を凌ぐ強さを持っているらしい。
あと、まあ、ここまで揃っていると当たり前だけれど、モテる。

私とは正反対の性格をしているなあと、常々考えると同時に、いい友達を持ったなあと思う。

「今話せないってことは例のあれだね?」

ハッと気づいたような顔をして聞く陽葵に返事をしようとした時に、ガラッとドアが開き、担任が入ってきて話は途切れた。

"またお昼休みに教えてね!"という言葉を残して陽葵は席についた。