「何?いきなり変な声出して」


「俺、まだ聞いてない…」



「え?何を?」


この人に言わなくちゃいけないことなんてあったっけ?



「今気づいたんだけど、





俺、お前の名前聞いてない…」



え…?



「それだけ?」


「それだけってなんだよ!
重要なことだろ?」


「ふーん…」


「″ふーん″って…
それで?名前は?」


「天野 心海…」


「あまの ここみ?

漢字どうやって書くんだ?」


「名字が天に野原の野で、下の名前は、心に海」



「へぇー、良い名前だな」


「名前は…ね

でも、大切な名前…
おばあちゃんにつけてもらったから

名前と性格は、反比例しちゃってるけど…」


「反比例?」


「だって、名前の由来は、海みたいに心の広い人になれますように、だよ?」


「十分広いじゃん」


「え…?」




「俺のことを助けようとしてくれてる

な?ちゃんと名前と比例してるだろ?」


「うん…」


この時は、頷くことしか出来なかった

突然過ぎて…
言われたことがなくて…