「え~、忘れちゃったの?」 忘れるとかいう以前に、何も聞いてないんですが? なんてことを言っても意味が無い気がしたので、黙っておく。 「しょうがないな~、それじゃあ教えてやるよ」 「しょうがないとか思っているんでしたら、別に話さなくても結構です。 今から学校なので、それじゃあ…」 そう言って目の前を通り過ぎようとしたとき、手首を掴まれた。 この人は手首を掴むのが好きなのか、と問いたくならないこともない。 「…なんですか?」