彼女は、空になった







―‥雪の、声がする。



「っ‥‥―!過呼吸だ!渓!!
紙袋、あるか!?」


「あ、―‥ある!」



―‥雪が、あたしを包む。

口元に紙袋を当てる。



「―‥桃華。大丈夫だ。

アイツはいないから。
ゆっくり、吐いて、吸え。」



背中をトントンと規則正しい
リズムで優しく叩く雪。




―‥アイツはいない?本当に?




良かった。いないんだ。


良かった―‥。良かった。