彼女は、空になった








毎晩毎晩、あたしと母を殴り蹴り
壊す、実の父。


止めるもせず、ただ傍観者となる
腹違いの兄。



父の元嫁は、母とあたしに悪質な
嫌がらせをしてきた‥―。


【慰謝料として月10万】


母は働いた、ただただ働いた。


あたしが産まれ、仕事を辞めた父
は母の給料を勝手に盗み、挙げ句
ギャンブルに全てを使う。


母が、夜仕事の間は家にあたしと
父と兄だけだった。




毎日のように殴られた。

見えない所にに痣や傷は耐えず。


それでも、母は帰ってくると自分
を殴れ。と懇願した‥―。


父は、自分の大切な家庭を壊して
あたしを産んだ母を許せなかった。



そして、産まれてしまったあたし
を憎み怨んでいた‥―。

兄も、そうだった。




身内の中で味方は母と母方の
お爺ちゃんと棗さんだけだった。


母は、常に言ってくれた。



『――‥大丈夫。
お母さんが守るから。
桃華は、お母さんの宝物なの。


貴女がいるから私は強くいられる
んだから。だから、笑って。

貴女の笑顔は、お母さんの
力になるんだよ。』



毎日、言ってくれた。



何年も繰り返してきた父からの
暴力と暴言‥‥―。



皆、限界だった。



渓と玖美と雪。

そしてお爺ちゃんと棗さん。


この5人しか、知らない上條家の
悲惨な日常。



いつも、励ましてくれた。