彼女は、空になった







ガチャ―‥




「こんばんは。佐原です。
上條さん家から凄い物音聞こえた
んで‥、心配になっちゃって。
最近、物騒でしょう?」



「あ、―‥あぁ!
いま、ちょうど嫁と子供とタンス
をずらしててっ‥―!


その音ですか‥ね?」


「あら、そうですか‥?

桃華ちゃんまだ起きているの?」



「―‥あ、えぇ。まあ。
眠れないみたいで‥。」






―‥雪だ。雪のママだ。


いつも、助けてくれる。

あたしの体の傷も痣も全部見たこ
とのある雪のママは、あたしを
いつも助けてくれる。



お父さんの嘘も本当は簡単に
見破っている。


―‥話を合わせてくれる。





―‥嗚呼、助かった。


『―‥お母さん。
雪のママだよ‥‥?

もう、大丈夫‥だからね。』


「―‥グスッ‥うんっ‥。

桃華、ありがとうっ‥。」





―‥体が軋む。痛い。痛い。






―‥お母さん、痛いね。