彼女は、空になった






渓達は、少し離れた所で
雑談していた。



あたしと久木遙はフェンスの
目の前に座り、ただ夕日に
照らされる景色を眺めていた。



「お前さ‥、なんでそんなに他人
に冷てんだよ。」


『‥別に。』


「ほら、それだよ。

別に。そう。しか言わねぇだろ。
会話は全て単語返し的な。」


『そんなことない。』


「‥‥そうかよ。」


『‥‥‥‥‥‥‥。』



さっきからやたらと話し掛けてく
る、久木遙。


渓いわく、久木遙は、あたしと
同じくらい本当は無口‥らしい。



周りから尊敬され愛され評価され
ている、久木遙。


女も絶えず、仲間もたくさん。



あたしには久木遙がキラキラして
輝いて、見える。



―‥好意。憧れ。尊敬。



どれも違くて、




―‥ただの醜い、嫉妬だ。