彼女は、空になった






あっという間に昼休み。



「桃華!屋上行こう。」


『校内探検してから行くから先に
行ってていいよ。』


「わかったぁ。
今日は、うちのお母さんの手作り
弁当だからね!」


『あ、まじ?玖美ママ大好き。』


「はいはい。先に行ってるね!」


『あい。』



中学のときから親のいないあたし
に、玖美と渓のママが日替わりで
よく弁当を作ってくれている。


母親の味をあまり知らないあたし
にとって、あの弁当は母親の味そ
のものになったんだ。






「―‥ねぇ!桃華ちゃん!」


『ん?』


誰、この子‥―。



「よかったら今日みんなでカラオ
ケ行くんだけど‥!渓ちゃんと玖
美ちゃんと桃華ちゃんも、どうか
な?って思って‥‥、」


『ごめん、パス。あたしは行かな
いけど、渓たちには別で聞いてみ
たら?じゃあ。』


「あ、うん‥また‥。」






極力、他人とは関わらない。




それがあたしの中でのルールだ。