彼女は、空になった








途端に、彼女はその可愛らしい顔
を、般若のような恐ろしい顔に変
えて、あたしを力一杯突き飛ばし
た‥‥―。




後ろには、いつしか、あたしが割
った修復済みの小さな窓ガラス。




―ガンッ!―‥パリンッ!!



『―‥っつ‥‥‥!』

勢いよく窓ガラスにぶつかりる。
薄い構造の窓ガラスは簡単に割れ
て、背中と腕にガラスの破片が突
き刺さる。



「―‥っ!!何してんだ!!!

―‥桃華!大丈夫かっ!」



―‥来ちゃ、駄目。遙。



『―‥っ来ないで、遙!


あたしは、大丈夫。
だから、絶対に来ないで。

そこから一歩でも動いたら別れる
から‥‥―。来ないで。』




―‥遙も、幹生も、涼太も、翼も
言葉を失っていた。





そして、形の良い唇から、彼女の
見た目とは似合わない言葉を吐き
捨てる。





「―‥っこの、人殺しっ!!!!

人殺し!人殺しっ!!!」









――‥‥ワイシャツが血で赤く、
染まっていく。