彼女は、空になった






遙は、聞けないんじゃない。



―‥聞かないんだ。

それが久木遙の、優しさ。



あたしは言わないんじゃない。


―‥言えないんだ。

上條桃華は『愚か者』だから。




でも、遙の優しさは温かい。


大好物のクッキーを
毎日くれたりする。



あたしが寒そうにすると、自分の
上着を貸してくれる。


本当は無口なくせに、あたしと
繋がろうと話しかけてくれる。



あたしの髪の毛を、綺麗だと
いつも言ってくれる。



一緒に帰るときは、あたしを必ず
歩道側にする。



あたしの歩くスピードに、いつも
合わせてくれる。




―‥あたしの、心の扉を無理には
絶対、開けようとしない。





それが『久木遙』の優しさだ。と
最近になって気付いた。