背中からでも分かる引き締まった筋肉、それでいて無駄のない細い体。
じっと見つめてしまった自分が急に恥ずかしくなり目線をスッと外したが、それでも目は彼を追ってしまう。
気が付けば彼の背中を見ていた。
彼は男の人達の前で何かを話すと、時折親指で私を差していた。
暫くすると男の人達はブツブツ文句を言い、ぞろぞろとその場を立ち去って行く。
それでも目が物欲しそうにクーラーボックス…ではなく私を見ていた。
それにはゾクッと体が震えた。
やれやれとでも言うように彼は頭を掻いている。
私はパーカーを持って立ち上がり静かに彼に近付いた。
すると彼はそれを察知したのかクルッと振り返り意地の悪い笑みでこう言った。
「すぐ目を離すとこれだよ。
困った人だね…入江は」
先程まで入江ちゃんだったのにもう呼び捨て…。
そんなことは今はどうでも良かった。
私はハッと一瞬、息をするのも忘れるくらいの衝撃を受けた。
