次々と人が集まって来るのに一定の距離を取ったまま彼達は近付いて来ない。
こそこそと何かを話ている人達もいれば、じっとこちらを見ている人もいる。
…お客さんじゃないのかな?
聞いてみようかと立ち上がろうとした時、いきなり頭を誰かに押さえられ自然にベンチに体が戻った。
「なっ!」
私よりも先に周りにいる男の人達が声を上げた。
私は何が起こったのか理解出来ず一瞬固まった。
「はぁ……」
近くでため息が聞こえ、顔を上げようとするとパサッと薄い布のような物が頭から被され、視界を遮られた。
けれど私はこれが誰の仕業か気付いてしまった。
潮風の香りが混じったお日様のような温かい匂い…。
さっきの人だ…。
すぐに布を取ると、それは彼の着ていた白いパーカーだった。
前方には上半身裸の水着姿のあの人…。
褐色を帯びた肌と黒い髪。それだけで分かる。
彼は太陽の光りを浴びてキラキラと輝いている。
