「硫がさ、最近やけにすきだの言ってくるんだよね…」


『みててわかるわ、お前らカップルかと思う会話ばっかりしてるじゃん、付き合えば?』


「でも…硫は女の子だし…俺はたしかに両方いけるけどさ、恋愛は二年前にしないって決めてたし、恋愛は、ね」


水那斗とバイト先で座りながら
恋愛相談をしている

結局一日中悩んでしまった俺は
救済を求めるべく

ため息をつきながら水を飲んでいた


『でも…そうじゃなかったらさ、お前もすきとか言わなくね?』


「ぅー」

『中途半端はダメだよ、』


水那斗の言う通りだ
中途半端…なんだよね
すきなら、

自分から

ちゃんとすきって

言うべきだよね

なんてぼけーって考えてた俺に水那斗は

『お似合いだと思うよ?あとはおまえがきめな』


と肩を押してくれた


ありがとう。
おかげで一歩踏み出せそう

「おう…ありがと、なんだか勇気がだせそうだ」


『うん、それにしてもさ、店長来ないよね、給料もらえるのかな』

「だからよ、店長来ないな」


そう
来ないんです

だから
こんなに話せる


でも


不安だ


ちゃんと給料がもらえるのかが

「硫よりかも給料が…不安」


『こっちは生活かかってるんだっつうのに(笑)』


「だせん(苦笑)」


『今日はかえる?』


「あー…かえろっかな(笑)」


硫にちゃんと伝えたくて
声がききたくて



ちゃんと自分のきもちを


硫につたえるために


バイト先をあとにして
ぼくは


帰りたくない実家にかえった