今日は、土曜日。

私は今、舞台の上に立っていた。


・・・


大きなコンクールで、優勝した私は、

全国版の放送枠で、

ピアノ演奏をすることになった。



「そんなに緊張しなくても、

大丈夫ですよ?」


女性のスタッフが、私に声をかけた。



「緊張しますよ・・・

テレビで流れるんでしょう?」


「髪型もドレスも

ばっちり決まっていますから、


後は、ゆったりとした気持ちで」


私の手を優しく凪握ってくれた。


「・・・

ありがとう。少し落ち着いてきました」


微笑んだ私を見て、そっと手を離した。


「さぁ、いってください」


「はい」



私はピアノの前に腰を下ろした。


深呼吸して、鍵盤に手を置いた・・・