それから一日おきに、

詩音は夜の海に来ては、

私に歌声を聞かせてくれた。

会う度に、どんどん仲も良くなっていき、

『詩音』『鈴奈』と、


呼び合うようになった。



「オレの歌なんか聞いてて飽きない?」


「全然。・・・いつか、

私のピアノに乗せて、歌ってもらいたい」


「ピアノ弾けるの?」


「小さい頃から、習ってるから、

大体は弾けるよ。詩音が歌ってる曲は、

楽譜がなくても弾ける」


「絶対音感があるんだね」


「耳だけはいいから」

私の言葉に、詩音は頭をコツンと叩いた。


「耳だけじゃないよ。

鈴奈にはいい所がたくさんあるんだから、

自分を卑下しちゃダメだよ?」


「ごめんなさい」


私が謝ると、


「叩いてゴメンね?」

と申し訳なさそうに詩音は謝った。