屋上につくと、七瀬が

「何かあったの?」

「・・・。」

「ま、いいたくないならいいけどさ。一応学代だし、同じクラスの子が

悩んでたら、相談に乗ってあげたいんだ。」


「天音・・・たちが・・・!」

今までのことを思い出すと、涙が出てくる。

「天音達・・・か。よくやるよなぁ。まだ懲りてないのか。」

険しい表情をする七瀬。きれいな顔が曇った。

(何かやってたのかな。天音達。)

七瀬は、私の心を読んだかのように話し出した。

「天音達はね・・・2人、いじめて自殺においこんだの。」


想定外の言葉に、私は返す言葉すら思いつかず黙ってしまった。

「ひどかったな、あれは。いじめられてた子は、蘭と、葵っていうんだけど、

特にひどかったのは、蘭ちゃんの方。天音達は、『むかついたから。』っていう理由で、

蘭をいじめだした。屋上に連れて行って、髪の毛をライターで燃やして、

おまけに屋上から落とすまねまでして。葵は、蘭の親友で いじめてる蘭をかばった

せいでいじめられるようになったの。で、いじめられてから1ヶ月くらいたってから、

蘭と葵は、2人で屋上から飛び降りたの。遺書も残さず。

だから、いじめられてたっていう証拠がなくて、結局、ただのストレスなどで自殺した

ってことになっちゃったの。」

「みんなが、先生に言えばよかったんじゃないの??」

「確かに、そうだよね。でも、みんな天音が怖くていえなかったの。

天音達は、男子がいないところでいじめるから、男子は何も知らないの。

ごめんね、蘭、葵。私、学級代表委員のくせに、2人を守ってあげられなかった。

ほんとに、ごめんね・・・」

その七瀬の涙で、私は天音たちのいじめのすごさを知った。

「七瀬・・・」

キーンコーンカーンコーン・・・

「あ、チャイムが鳴った。もう1時間たったんだね・・・」

七瀬は、涙をふき無理やりの笑顔をつくった。

私は、その笑顔でズキン・・・と、何故か心が痛んだ。