夢への52の階段

私はもう必死だった。

(好きな人が目の前であの川を渡るところなんて

見たくない!!!!!)

『中原・・・もういいよ。

俺、死ぬっていう運命なんだからさ。

その運命を受け止めてこそ人生だろ。

だから・・・いいんだ。』

「なにがいいのよぉ!!!

神様がせっかくチャンスくれたっていうのに、

それを振り払ってでも運命っていって、死んじゃうわけ!?

寛樹が死んだら、どれだけの人が悲しむと思ってんのよ!

お母さんにお父さん、おばあちゃんおじいちゃん、兄弟、

友達!!!

佑太くんなんか、寛樹が昏睡状態になったとき、

すっごい泣いてたんだからね!

葵さんも、神様がくれたチャンスを断って、

雲の上に寛樹が行ったらどんだけ悲しむと思う!?」

『あ・・・』

寛樹の目から涙がこぼれた。

「だから、一緒に戻ろう。

 ね??」

『うん。』