夢への52の階段

“○○病院前、○○病院前です”

(ここか・・・)

私はバスを降りて、すぐに病院へ入った。

看護士さんに寛樹の病室の番号を聞いて、部屋に向かった。

(703・・・私の誕生日の番号だ!)

部屋に入ると、寛樹の姿があった。

いつもとは違い、痩せていて、体には何本ものチューブがあった。

「あれ・・中原??お前、学校どうしたんだよ・・・?」

「早退したの。」

「具合でも悪いのか??大丈夫か?無理してこんな遠くまで来なくてもよかったのに・・・」

心配そうな顔で私を見つめる。

どこまで優しいの、この人は・・・

「ううん。具合が悪いとかじゃなくって・・・。その・・・」

さすがに、≪寛樹の事が心配で≫なんていえない。

「何??」

「ちょ・・・ちょっと用事っていうか・・・家のことがあって。」

「そうか。」

寛樹は少し心配そうな顔をしながらも笑ってくれた。

その笑顔で、私は胸から涙があふれた。

(寛樹・・・)

「じゃ、また来れるときあったら、来てな。

 待ってるから。

 あと、伊藤たちのことでなにかあったら絶対に相談してくれよ。
 
 2つ、俺との約束な。」

(約束・・・)

「うん!わかった!」