夢への５２の階段

転校してきてすぐのとき、一番初めに声をかけてくれたのは、天音だった。

『中原知菜ですっ・・・！よろしくおねがいします・・・』

小さな声で自己紹介し、先生に指定された席についた。
隣は、天音だった。


『知菜ちゃん？？私、伊藤天音。あまねって呼んでね。よろしく』
天音は、ニコッと笑ってくれた。

そのときは、うれしかった。優しいな、このことなら友達になれそう！

って思った。その時間の放課は、私は天音たちのグループの中にいた。

『知菜だよ。もう友達になったんだ。』天音はさっきのような笑顔で、グループの

みんなに紹介してくれた。グループの月香や、結友（ゆい）は、
『よろしく！』などと、その日からとても仲良くしてくれた。

毎日毎日が楽しくてしょうがなかった。


でも、ある日突然、みんなが私をさけるようになった。

『ねぇ、天音、ちょっとさ――・・・』

私が言い終わらないうちに、

『あっ！月香！！いい忘れてたんだけどー！！！今日、６間目数学らしいよ！

昨日のプリントいるって！！』

『えーー！！まじで！？やばい～～！！結友、見せてー！』

完全に無視。そんな日が何日も続いた。

私は、なぜ避けられ、無視されているか、まったくわからなかった。

つらかった。せめて、理由くらい、教えてくれてもいいのに・・・。