夢への52の階段

目を覚まし、時計を見ると4時をまわっていた。

(帰らなきゃ・・・)

ベッドからおりようとするものの、体が動かない。

「お!中原!おきたか??」

松川君が保健室に入ってきた。

「うん・・・。ありがとう。」

「あれから、大変だったんだぜ?先生呼びに行こうとしても、
俺一人だったから、どうせ逃げられると思って・・・

ま、結局は先生にいえたんだけどな。」

ばかだよな、というように笑って、話してくれた。

初めて、松川君と話した。

「あの・・・松川君は、どうして屋上に・・・?」

「寛樹でいいよ。」

「あ・・じゃあ、寛樹はなんで屋上に来たの?」

松川君のことを、『ひろき』って呼ぶと、なんだか付き合ってる人みたい♪

すこしだけ薄く笑いを浮かべて答えを待った。

すると・・・

「またいじめてるなって思ったから。」

「え?何でわかったの?」

「あいつら、みんないないとき、たいてい屋上にいて、だれかいじめてんだ。

佐藤と、宮島みたいにな・・・」

蘭さんと、葵さんのことだ。

「蘭さんと、葵さんのこと、教えてくれない・・・?」