「そういえば、結局阿曽崎君にバイト決まったの?」
「あ、うん。即採用」
今では日課となった中庭へお弁当を持って行く。
中庭でのお弁当は最初こそ最悪ではあったけど、今では空気もいいし、風も気持ちいいし、美味しく感じられる。
「お、来た来た!
ひなちゃ~ん!!」
そしてこれまた日課となった、悠太君のひなちゃ~んという声が聞こえてきた。
控えめに手を振りながら、ちょっとだけ早歩きになる。
莉仔は猛ダッシュで夜月君に突進してるけど。
そしていつも通り、黒崎君がパンをもくもくとかじっている。
良かった、来てくれてた。
なんか朝、怒らせちゃったみたいだし、ちょっと不安だった。
黒崎君が中庭に来ないんじゃないかって。
「ひなちゃんのお弁当ってめちゃくちゃ美味いよなぁ。
ほんま、うらやましい限りやわ」
「そ、そう?」
「料理上手なお母ちゃんでええなぁ。
俺なんかもう食えるレベルじゃあらへんねん」
お母さん.....
その言葉であの日の光景が一気によみがえって来た。
顔から血の気がなくなっていくのが自分でも分かる。

