「莉仔ー、なんで黒崎君は学校であんな格好してるんだと思う?」
「へっ!?
なんでって、なんでとはぁー.....
う~ん、極度の人見知りとか」
「それはない」
「じゃあ、かおに深い傷が.....」
「それもない。
ってか、バイトでは普通にマスクもフードもしてないんだって!!」
「あ、そうだった!!」
はぁー、まったく。
莉仔は頼りになるときはすごくなるんだけどなぁ。
まぁ、こんなことで莉仔を頼りにする方が間違ってるのか。
昨日佐伯さんに言われて気になっていた。
何故黒崎君は学校で顔を隠しているのか?
何故バイトでは偽名を使っているのか?
ううん、何よりも気になってるのは
『蓮はあなたを好きにならない』
あの言葉の方だ。
口では強がってみたけど、ほんとは佐伯さんの言うとおりなのではないかと思う。
私こんなだし。
全然素直じゃないし。
「あ、分かった!
モテすぎてもう嫌になって、女除けのための顔隠し!!」
「.....へ!?」
一瞬、莉仔は何を言い出すんだ.....と思っていたが、何秒か経って気づいた。
そういえば何故黒崎君は学校で顔を隠しているのか?そんな会話を莉仔としていたんだっけ。
完全に忘れてたよ。
もう違うことで頭いっぱいになってたよ。