◎ひなのside


「ぐぅぅぅぅ」


誰も居ない教室に私のお腹の音が響き渡った。

誰も居なくてよかった.....
ホッと胸をなでおろしながら黙々と黒板を消した。

やっぱり昼食抜きはきついな。
バイトに行く前に何か食べていこう。


「よしっ」


綺麗になった黒板を見てから満足し、教室を後にした。

今日はちょっと時間ないな。
急がないと!!

小走りで家に帰り、服を着替えてから冷凍庫に入っていたアイスを口でくわえ髪を結んだ。

我ながら器用だな.....と少し感心しながら今度は靴を履いた。


アイスを片手に鞄を持って外に出る。


今日の私はちょっとご機嫌だ。
だって、だって、


初めての男友達が出来たから♪


柄にもなく鼻歌を歌いながら早歩きで歩いた。

バイト先につくと同時アイスと食べおわり、ナイスタイミングとちょっと嬉しくなった。


そんな幸せが続き、今日の私は積極的になっていた。


「黒木君、ちゃんと仕事しなさいよね」


言おうと思っていた言葉とはかけ離れていたが、私から黒崎君に話しかけた。


ほんとは『黒木君、仕事頑張ろうね』と言うつもりだったんだけど.....

まぁ、いっか!!


「お前こそ遅刻してんじゃねーよ」

「してないわよ!」

「遅刻まで1分前はもう遅刻と変わんねーんだよ」

「それでも間に合ったもんは間に合ったんです!」

「可愛くねー」

「そっちこそ」

「俺は男だから可愛くなくていんだよ」


むっかー!!

ほんと可愛くない!
でも、黒崎君相手だと毒吐いても悪い気はしないからいい。

だって、私も黒崎君に相当な毒を吐かれるから。
お互い様ってこと!

いや、むしろ黒崎君の毒舌の方がひどいし.....