「あれから9年。
今でもあたしはうみ君が迎えに来るのをまってる」
「待ってるって.....
連絡も取ってないの?」
「うん。
住所も、電話番号も、メアドも知らないもん」
そう言って莉仔はにかっと笑った。
なんで?
9年も連絡を取ってない相手をどうして信じれるの?
だって、相手はもうどうなってるかわかんないんだよ?
莉仔がまだ好きでも、相手は.....
「なんて顔してんのよぉ~!
もう、ひなのは心配しすぎなの!!」
「でも、9年だよ!?
そんなのありえな.....」
いいかけて、私は止めた。
あまりにも、莉仔が優しい顔をしていたから。
「あたしははうみ君が好き。
うみ君がどんなになっても。
うみ君がほかの人を好きになってても。
あたしは、うみ君が好き。
たとえハゲ頭になってたとしてもね?」
莉仔は笑顔でそう言った。
本気でそのうみ君って言う人が好きなんだ。
9年たってても、好きなんだ。
莉仔はすごいな.....
こんなにも人の事を想えるなんて。
「あたしがいいたいのはさ、ひなの。
優しい黒崎君もさ、俺様な黒木君も、全部ひっくるめて黒崎君なんだよ」
「全部.....?」
「そう。
ひなのが優しい黒崎君を好きになったんなら、それは俺様な黒木君のことも好きだっていうことだよ」
「いや、なんかそれはちょっと違うような.....
私は黒崎君と黒木君が同一人物なら、好きになんてなんなかったもん」
「そう?
まぁ命短し、恋せよ乙女ってね!
ひなの、失恋って言うのはね、相手に想いを伝えた人だけが使うことを許される言葉なんだよ」
そう言って莉仔は教室から出て行った。
多分トイレにでもいったんだろう。
莉仔の言いたいことはなんとなく分かるけど.....
でも、私は、黒崎君のことを
『好き』
なのかな?
自信持って言えない.....

