黒崎君が考えてくれたプランはとてもたのしくて、時間はあっという間に過ぎていった。
箱根を存分に堪能した私たちは、もう日が沈みかけたころに旅館へと戻ってきた。
「腹減ったし、飯にするぞ」
「あ、うん!」
歩き回ったからそれはもう腹ペコの私たちは、真っ先に自分たちの部屋へと向かった。
入ってすぐに黒崎君が備え付けの電話で夕食を頼み、私はとりあえず部屋の中を歩き回ってみた。
窓からは綺麗な庭。
和風の部屋には木の大きな机、その上にはきゅうすとお茶っぱなんかも用意されてて。
あれ?これなんだろ??
机の上の物をいじっている時だった。
不自然におかれたはがきサイズの紙がなんだか気になって、それを手に取った。
その紙には
『ここに二人の愛の結晶を張ってね♡』
という文字と、6つのハートの枠。
どういうことだろう?と考え、すぐに思い当たることがあった。
そう、あれはこの旅行のきっかけになった迷路。
そこで大切にしてねと渡されたシール。
もしかしなくても、そのシールをここに貼れということなのだろう。
だとしたら、ひっじょーにやばい!!
どうしよう、私あのシールのことなんかすっかり忘れてたよ.....
えぇ、と、たしかあれはポケットに入れて.....
ポケット!!!!!
ということは、洗濯機に服と一緒に.....
ダメだ、やってしまった。
もうあのシールはきっとシールとしての役目を果たせない状態になってる。