両想い片想い


◎蓮side


新しいクラスになった。

唯一の友とクラスが別になってしまい、ただただ退屈に時間が過ぎていく。
そんな時、俺はふと気づいた。


朝、教室にきたら黒板がすげー綺麗になってる。

他の奴からみたらどーでもいいことなんだろうけど、俺はこの黒板がどういういきさつで綺麗になったのか気になった。





放課後、適当に校内を歩いて教室に顔を出してみたら、1人の女が黒板を消していた。


緩やかなカーブを描く栗色の綺麗な髪が彼女の黒板を消す動きに合わせてぴょこぴょこっと動く。


確か名前は綾瀬ひなのと言ったか.....

別に興味はなかったが、入学当初、周りの男子がすごくカワイイと騒いでいたから覚えている。

不思議と今ではそんな会話も聞こえてこなくなったが.....



綾瀬の手元をよく見たら黒板消しに雑巾を巻きつけて拭いている。
なるほど、こうしてあの綺麗な黒板の出来上がりというわけだ。

しかしあの雑巾、家から持ってきてるのか?
あんな雑巾学校にはなかったし。

すげーやる気満々だな...
思わずプッと吹き出してしまった。


幸い、周囲に人はいない。
どうせならもう少し黒板を見届けよう。




そう思ってしばらく見ていると、だんだんその女は苦しそうにし始めた。
うぅー、と唸りながら、一生懸命爪先立ちをして、手をピンと伸ばしている。

なんだ、あれ!
おかしすぎて大声で笑いそうになるのを必死にこらえながら、静かに教室に入った。

俺の存在に気づいてないその子は、どうやら上の方をあきらめたらしく背伸びを止めた。

その子の力が緩まったところで、黒板消しをスッと取ると以外にもあっさりとその黒板消しはその子の手から外れた。

その子は驚いて目を見開き、口をポケーと開けて唖然としている。

なんだよ、その顔。
俺はまた笑いそうになりながらまだ消せてないところを綺麗にしていった。

消し終わり、もうここに用はないしバイトもあるしで教室から出ようとしたところで、その子が俺を引き留めた。

お礼なら十分笑わせてもらったからいいんだけどな。
と思いながらも必死になにかをしゃべろうとしているので待った。

そして待ったあげく言われた言葉。


「あ、あ、あ.....
あんた何様のつもり?
私は別に何も頼んでないんだけど?」


なんて女なんだ。

あきれてさっさと教室からでた。


少しでも期待した俺がバカだった。
そうだ、女なんてろくなことがない。



いや、あの女以外と言うべきか。