「綾瀬」
お客が途切れ、ひと段落してテーブルを拭いていると、お皿を片付け終わった黒崎君が戻ってきて、私を呼んだ。
「ほんと、助かった。
さんきゅーな」
「え、あ、ううん!!
私あんまり役に立ててなかったし...」
黒崎君が私に感謝してる!
しかもいつもの偉そうな上から目線ではなく!!
なんかすごく新鮮。
そしてなんか調子狂う。
「綾瀬居なかったら、俺はいつまでも逃げてたと思う」
「それは、私もだよ。
黒崎君が居るから、いろんなこと逃げずに頑張れたの」
「綾瀬って、強いよな」
つ、強い!?
私武道とか空手とか、何も習ってないんですけど!?
体育もふつー、握力は弱い方だし、体力もそんなにないし。
それに、黒崎君がいたからってのは励ましとかじゃなくて、本当の事だし...
黒崎君に会って、好きになって、いろんな事を頑張れた。
黒崎君がいなかったらきっと、男の子を避けて、きっといつまでたってもおどおどしてた。
嫌なことから逃げて、莉仔がいるからいいやなんて甘い考えで。
きっと、そうだった。

