「綾瀬、さんきゅ。
もういいから」
「えっ、黒崎君?」
震える綾瀬の肩をポンとたたいて今度は俺が綾瀬の前に出た。
「実愛。もう一度言う。
俺はもう実愛のことが好きじゃない。
俺は実愛のものじゃない」
俺の言葉で実愛はひるんで、ナイフを振り上げた体制で止まっていたが、実愛の中で何かがプツリと切れたように、また叫びだした。
「そんなのいやっ!
蓮はみあの物よ!!」
「いい加減にせぇ。
お前は黒崎の事が好きやないんか!?」
いや、なにかがプツリと切れたのは阿曽崎の方だった。
阿曽崎はいつもへらへら笑ってて、ふざけた感じなのに、今はそんな普段の阿曽崎からは想像もつかない顔でしゃべっている。
「佐伯さんが一番分かってるはずやで?
黒崎の事本当に好きなんやったら。
分かるはずや」
突然、実愛はガクリと力なくその場で崩れ落ちた。
その目からは涙がこぼれ落ち、手に握られていたナイフはカランと音を立て、実愛の手から離れた。
「お前ら、なにやって......るんだ!?!?」
「「「あ.....」」」
実愛以外の全員が声を揃え、その声の人物店長を見てハッとした。
すっかり忘れていた...
今フロアのバイトが全員ここに勢ぞろいしているってことは、お客さんは放置状態。
かなりやばいんじゃねーか!?

