「ごめん、それは出来ない」
「なんで!?
実愛は蓮の事すきだよ!?」
「ごめん.....」
「なんで、ねぇ、なんでっ!?!?」
さっきまでの実愛が嘘のように、実愛が俺に噛み付くかのように騒ぎ出した。
こんな実愛は初めて見た。
どうすればいいか分からなくなり、パニック寸前の俺に代わって、いつからいたのやら、阿曽崎が実愛の腕を引っ張って俺から引き離した。
「ちょい落ち着きぃや」
「離してっ!
蓮、助けて、助けてよ!!」
「俺は、もう実愛の事を好きだとは思えない」
俺の言葉を聞いた瞬間、実愛の顔から表情というものが一切なくなった。
見開かれた目には何もうつってないかのようで、まるで人形のようで、涙だけが実愛の肌をつたっていった。
「実愛の事が好きじゃない蓮なんていなくなってしまえばいい」
「佐伯さんっ!?!?」
あまりの展開にさっきまで固まっていた綾瀬もさすがに驚いて、悲鳴にも近い声で叫んだ。
実愛の手には果物用と思われる、小型のナイフが握られていた。
何故あんなものを持っているんだ?
という疑問もある。
けど今はそんなことよりそれを使って何を実愛がしようとしているかってことだ。
殺される。
俺の本能がとっさにそう思った。
でも、このまま殺されてもいいのかも。
この世界に生きてる意味なんてなんもねぇし。

